ラベンダー湯入浴によるリラクセーション効果: 心拍応答と気分指標を用いた検証

入浴

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はじめに

近年、ストレス社会の中でリラクセーションが注目されており、様々な手法が提案されています。リラクセーション効果を得る方法として、湯入浴やアロマセラピーが広く利用されています。特に、ラベンダー精油は心身に様々な効果があり、リラクセーション効果が期待されています。本ブログでは、心拍応答と気分の指標から見たラベンダー湯入浴のリラクセーション効果を検証する研究を紹介します。

方法

本研究では、青年男女を対象に、39℃、15分間のラベンダー湯入浴中及び出浴後の変化を同じ温度と時間の対照湯入浴における変化と比較し、検討しました。心拍数、心電図R-R間隔変動係数(CVR-R)、Nowlisの質問紙による快適性の気分を測定し、統計処理を行いました。

結果

  1. 心拍数
    出浴後、ラベンダー湯入浴では対照湯入浴に比べて、男性の心拍数が有意に低下しました。
  2. CVR-R
    入浴中及び出浴後、ラベンダー湯入浴では女性のCVR-Rが増加しました。
    ※CVR-R(心電図R-R間隔変動係数)は、自律神経の状態を評価する指標の一つです。自律神経は、私たちの体の機能を調節し、心拍数にも影響を与えています。安静時や深呼吸時など、さまざまな状況下で自律神経の働きによって心拍数が変化します。

心拍数の変動の程度を調べることで、自律神経の状態が分かります。心電図波形のR波と呼ばれる部分の間隔を用いて、その変動の程度を数値化したものがCVR-Rです。具体的には、R波間隔の変動係数(CV)を求めることで、自律神経の働きを評価することができます。

CVR-Rが高い場合、自律神経の働きが活発であることを示し、逆にCVR-Rが低い場合、自律神経の働きが鈍っていることを示しています。したがって、CVR-Rを測定することで、自律神経の状態やストレスレベルを把握し、適切なケアやリラクセーション方法を選択することができます。

  1. 快適性の気分
    出浴後、ラベンダー湯入浴では女性の快適性の気分が高まり、リラックスした状態にあることが示されました。

結論

以上の結果から、ラベンダー湯入浴は副交感神経機能を対照湯入浴より強く亢進し、心理的にも快適感を増加させることが示唆されました。これにより、リラクセーション効果は対照湯入浴よりも高いことが示されました。

リラクセーション効果の背景

本研究で示されたリラクセーション効果の背景には、微温浴とラベンダー精油がそれぞれ持つ鎮静作用が関与していると考えられます。微温浴(37-39℃)は、自律神経のうち副交感神経が優位に働き、筋肉が弛緩し、血管が拡張して血圧を下げるといった鎮静作用が見られるとされています。また、香りは経験から快・不快といった感情を誘発するものであり、快感情を伴うものがリラクセーション効果に繋がると推測されます。嗅覚神経路が大脳辺縁系に直結しているため、香りが視床下部に影響を及ぼし、自律神経の働きにも影響を与える可能性があります。

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ラベンダー精油は、心臓や神経に対して鎮静作用があると言われており、ラベンダー精油の経鼻腔吸入によって脳波のα波が増加し、特にslow α波の増加が顕著であることが報告されています。また、睡眠中のラベンダー精油の経鼻腔吸入によって指尖部の皮膚温の上昇が明らかにされ、リラックスした状態であることが示されています。

さらに、ラベンダー精油を人体にマッサージすることによって、経皮吸収された主成分の血漿レベルが上昇することが報告されています。これらの研究結果から、微温浴とラベンダー精油の吸入はそれぞれ精神を落ち着かせ、リラックスを得ることが確認されています。

ラベンダー精油のリラクセーション効果を利用した製品やサービスが増えているため、消費者が効果的に利用できるように、適切な使用方法や注意点に関する情報提供が求められます。このような情報提供を通じて、心身の健康に役立つリラクセーション効果を実現することができるでしょう。

ラベンダー湯入浴だけでなく、他のアロマオイルやハーブを組み合わせることで、さまざまな効果や香りを楽しむことができます。例えば、ラベンダーとローズマリーやユーカリの精油を組み合わせることで、リフレッシュ効果や集中力アップなどの効果が期待できます。このように、アロマオイルを組み合わせることで、自分に最適なリラクセーション効果を追求することができます。

また、リラクセーション効果を維持するためには、日常生活においてもストレスマネジメントや適切な休息が重要です。適度な運動やバランスの良い食事、十分な睡眠など、健康的な生活習慣を心がけることで、リラクセーション効果を持続させることができます。

最後に、リラクセーション効果は、日常生活の中でストレスを軽減し、心身の健康を維持するために非常に重要です。ラベンダー湯入浴がリラクセーション効果に寄与することが示された今回の研究は、新たなリラクセーション方法の提案として、多くの人々にとって有益な情報となることでしょう。今後も、ラベンダー湯入浴を含むさまざまなリラクセーション方法の研究が進められ、より多くの人々の心身の健康に貢献できることを願っています。

【参考文献】
日本生気象学会雑誌

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